経営学部 経営学科
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那須野育大 准教授が2023年度第15回日本ホスピタリティ?マネジメント学会「学会賞(著書の部)」を受賞しました。
日本ホスピタリティ?マネジメント学会「学会賞(著書の部)」は、ホスピタリティ?マネジメントに関する分野において、学術の進歩、発展に寄与しうる優れた著書に対し贈賞されるものです。
【受賞著書】
那須野育大(2024) 『地域観光論-ドイツに学ぶ産業観光活性化方策-』学文社.
【著書の概要】
本書では、ドイツにおける産業観光をモデルケースと位置づけ、ここでの成功要因の日本への適用を試みています。産業観光とは、先行研究によると、「様々な産業を対象とする観光利用形態であり、製造過程?技術?製品を対象とする観光」のことをいいます。「学び」と「見学と体験」の要素が重視されます。
本書の特徴として、次の2点が挙げられます。第1に、(1)課題の抽出、(2)課題解決策(命題)の提示、(3)解決策(命題)の妥当性検討、という3段階の分析に基づき、日本の産業観光活性化方策を提案している点です。すなわち、日本の産業観光について、まず(1)長野?富山両県の事例分析から課題を抽出、次に(2)ドイツ?ルール地域「産業文化の道」とアウトシュタット(自動車のテーマパーク)の事例分析により課題解決策(4つの命題)を提示、そして(3)名古屋?中京地域と地域一体型オープンファクトリーの統計分析(探索的因子分析と構造方程式モデリング)を通じて、解決策(命題)の妥当性を検討しています。
第2に、複眼的な分析を試みている点です。すなわち、本書では、(1)日本国内のみならずドイツの事例を丁寧に調査するとともに、(2)定性分析(事例分析)にとどまらず定量分析(統計分析)を併用しています。こうした体系的な分析は、先行研究でも行われていません。
本書で抽出した産業観光の成功要因(4つの命題)は、(1)基礎的データを考慮したマーケティング、(2)多様な組織による持続可能なマネジメント、(3)小売部門と連携したマーケティング、(4)産業観光を軸とした地域の魅力向上です。日本の産業観光は、ビジネスの視点を考慮することで、観光客、企業、地域にとって意義深い観光の形態であり続けると考えられます。
那須野育大 准教授による授業「観光まちづくり論」では、本書に基づく内容を学習できます。
▲2024年8月24日(土)、日本ホスピタリティ?マネジメント学会第32回全国大会(東海大学)において、表彰式が行われました。
▲賞状